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2008年05月01日

井上康生 北京五輪出場ならず



これで全階級の北京オリンピック出場選手が決まりましたね。肝心の出場枠も全階級で獲得できたようで何よりです。欲を言えばアジア選手権とはいえ、そんな重要な大会はテレビ中継してほしかったところですが…。
正直井上康生選手に逆転選出を期待するのは酷な状況でしたが、優勝したとはいえ石井慧選手が選ばれたのは失礼ながら私も意外でした。複数の関係筋が棟田康幸選手落選の理由について「直近の井上・石井らとの直接対決に敗れたことが大きなマイナスだった」と話していますが、それもおかしな話。それなら棟田康幸選手は全日本選手権に欠場したほうが代表選出の可能性が高かったことになってしまいます。…まあ実際そんな状況も往々にしてあるのですが。
それに関連して、山嵐は今回の石井慧選手の逆転選出をこう見ています。来年以降、JUDOは正式なプロスポーツ化、ランキング制を導入することが決まっていて、世界選手権やオリンピックの代表は国際大会のポイント制によって選出されるようになります。つまり今まで日本国内において、いや選手によっては(棟田康幸選手も常々言っていたように)どの世界大会よりも価値があった全日本選手権の権威が著しく落ちることになります。よって今年は全日本選手権が、国内でオリンピック選手の選考会を兼ねて最も重要な位置付けで開催できる最後の年だったわけです。ただでさえ女子柔道では国内大会の選考会としての意義を疑問視されていた矢先、そりゃあ選考委員の方々も優勝者を代表にして、大会そのものに華を添えてやりたいという気持ちが働いても不思議はないでしょう。そのあたりの事情も石井慧選手に有利に働いた可能性が高いと私は考えます。
さてこの石井慧選手の代表選出。すっきりしない試合内容だったこともあって全体的にあまり歓迎されていないようです。ただ、個人的には「最初に大きなポイントを取って逃げ切る」というような試合運びも全く問題だとは思っていません。柔道界の古株たちがバカの一つ覚えみたいに「一本を取る柔道を」と言い続けてきたせいで日本柔道は負けが込み、結果逆説的に欧米のJUDO界に発言権を奪われ、一本を取る柔道を展開しづらい時代になってしまったのですから。理論派の加納治五郎先生だったら絶対に時代に柔軟に対応して、一本を取らずともいかにして勝つか、みたいな戦術(ひいては戦略)を練ったはず。…ただ、今回は講道館ルールのせいもあってたまたまうまくいきましたが、そもそも石井選手は若さもあってかまだその手の駆け引きは棟田選手ほどうまくありません。そういった純粋に対外国人の実力という意味で、棟田康幸選手のほうがオリンピックで勝つ可能性は高いのではないだろうかと山嵐は踏んでいました。…ただついでに言うと、棟田選手は対戦相手を「押し過ぎ」です。ずんずん前に出て場外際に追いつめるのが持ち味ですが、少なくとも講道館ルールでは「自分から故意に場外に出る」のと同じように「故意に相手を場外に押し出す」ことも一発注意の反則だったはずなのですが、国際ルールにあおられてか久しくそんなジャッジを見かけません。
そのへん良い意味で徹底してしたたかなのは谷亮子選手。あの方はだいぶ前から、試合の最初から一本なんかさらさら狙ってません。スピードと手数で相手を翻弄し、「焦ってくれればかけた技が一本になりやすい」程度に考えていることでしょう。どうして日本の名だたる監督やコーチはこの天性の戦術を分析して他の選手に徹底する能力が無いのか…。
我々観戦者も、安易に一本を求めるのは好ましくないと山嵐は考えます。格闘技でありスポーツである以上、一本より結果のほうが重視されるべきはずです。その前提のもとに戦術を練れば、必ずや今以上に「一本」の重要性が見えてくることでしょう。
posted by 山嵐拓夢 at 00:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 柔道(Judo)ニュース
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